就活先の企業として気になるのは労働環境はもちろんですが、給料面もかと思います。以前の記事ではメーカー勤務の給料面でのお話をしました。
化学メーカーを選ぶ際に気になるのは企業による年収の差です。ホワイトで年収の高い企業に入るためには情報収集が欠かせません。 情報収集源で思いつくのは就職四季報のような情報誌でしょう。しかし実際の化学企業の年収は情報誌に載っている額とは[…]
前回記事ではざっくりとした年収に言及しましたが、本記事では細かく10年目くらいまで月収と年収の試算を行いました。
年次昇給は2%、ボーナス4か月と仮定した計算になっています。この仮定は個人的な感覚と周囲のメーカ勤務者の聞き取り調査で算出したものなので大きく外れたものではないです。
メーカーに勤務すると基本給は大体これくらいだと思ってください。ここに残業代や各種手当などが上乗せされます。
月収 | 年収 | 月収 | 年収 | |
大卒 | 大卒 | 院卒 | 院卒 | |
初年度 | 205000 | 3280000 | 230000 | 3680000 |
2年度 | 209100 | 3345600 | 234600 | 3753600 |
3年度 | 213282 | 3412512 | 239292 | 3828672 |
4年度 | 217548 | 3480762 | 244078 | 3905245 |
5年度 | 221899 | 3550377 | 248959 | 3983350 |
6年度 | 226337 | 3621385 | 253939 | 4063017 |
7年度 | 230863 | 3693813 | 259017 | 4144278 |
8年度 | 235481 | 3767689 | 264198 | 4227163 |
9年度 | 240190 | 3843043 | 269482 | 4311707 |
10年度 | 244994 | 3919904 | 274871 | 4397941 |
11年度 | 249894 | 3998302 | 280369 | 4485899 |
メーカーのエンジニアの給料は横並び
メーカーエンジニアは多少仕事できようが給料は横並びです。仕事できない同期もすごく能力のある同僚も少しずつしかあがりません。しばしば業務量に釣り合わないので不満が募ります。
2, 仕事が出来るのは自分ひとりのお陰ではない
理由としては上記の二つがメインに挙げられます。とくに高度経済成長期で栄華を極めた重厚長大な製造業では年功序列という風習が強く根付いています。
これは役員が軒並み高齢者だからです。経営判断や社内のルール作りは彼らが過ごした経験を元に実施されています。年功序列が当たり前という価値観の人間ばかりなので風土として年功序列になるのは自明です。
たとえばサイバーエージェントやコロプラなどのIT企業がとくに顕著ですが、経営者や役員がミレニアム世代で構成されている企業が多いので、若手にバンバン役員や部長職を任せるような風土があります。まさに実力主義ですね。
メーカーの年功序列は崩せない

社内の風土として年功序列はありますが、入社5年くらいで差が出るかと思っていました。しかし先輩と自分の経験を総合するとたかだか5年では完全に横並びです。 10年くらい経つと役職や給料にも多少の差がでてくるようです。
さて「功績をあげれば給料は人より上がるのではないか」と思いますよね。
でも上がらないんです。
製造業では仕事の進め方など経験的な要素が強いため、どの新入社員でも横並びのザ新人です。たとえばIT系だと個人のスキルが大きくモノを言いますが、製造業では新入社員の時点で全くもって能力の差がないのです。
したがって仕事の経験年数=仕事の上手さとなります。
これも製造業では年功序列を崩せない理由の一つになっています。また自身の仕事は課長や部長が管轄する下で実施するものであるため、他の人達との協働によって初めて仕事が達成されます。
従って「自分のお陰で仕事が上手くいった」という状況にはなかなかならないです。その結果として凄く評価されることはないため給料は横並びになってしまいます。
A評価でも給料は上がらない
たいていの企業で上半期と下半期の中間評価があります。ここで評価が決まって一年間の昇給とボーナス額の昇給額が決まってしまいます。
ちなみに去年、上半期と下半期の両方でA評価を貰っています。しかし、しかし全然昇給はしませんでした。他のB評価の人と同じ昇給額でした。
つまり頑張ったところでお金には反映されないのです。ちょっと希望のない話ですが、若者がプライベートを大事にする方向に傾いてしまうのがよく分かります。
メーカーエンジニアの残業代と働き方
残業代は25%以上割増賃金を支払わねばならないことが労働基準法で決まっています。一般的な残業量である10-30時間/月をしているとすると、年収としては10-20%ほど増えることになります。
従って上表の金額に10-20%を加算した額が実際の額面給与になります。ホワイトな企業では新入社員は入社3か月ほどは残業禁止のような状態になり、夏ボーナスも寸志程度なので年収が額面通りに貰えるのは2年目からとなります。
残業時間に対する考え方
気になる残業の多さですが、配属される部署によって千差万別です。一般的には45時間/月が一つの基準になるのですが、残業が多いか少ないかは実は事業が儲かっているか否かに掛かっています。
儲かっている部署だと人も雇えるし残業代も支払えます。したがって常識的な残業時間で業務を終えられるのに加えて、その内容もカツカツで精神をすり減らすものでないことが多いです。
儲かってない部署だと人も削減するし残業代も支払えません。したがって業務はすごく多いのに人が足りないという状況になります。結果としてサービス残業やカツカツの精神をすり減らす仕事をさせられる可能性が高くなります。
最も働きやすい部署とは
若者は労働でお金を得るよりも自身の自由を尊重する傾向があります。高度経済成長期を生きた古参社員とは考え方が真逆といっていいでしょう。
若者にとって働きやすいのは残業20時間程度で忌憚なく意見を出すことができる人間関係がある部署です。部署への配属自体はランダムなので運次第ともいえますが、一般的にお客さんを持つ部署は忙しい傾向にあります。
いわゆるシーズ研究といわれる基礎研究を実施する研究部門などは残業が少なく働きやすい職場です。ただ人付き合いが旺盛でない人が多いので少し人間関係としては物足りないかもしれません。
一方で開発や生産技術は人とのコミュニ―ケーションが必要な職ですので、楽しい人間関係が気づける可能性が高いです。その分お客さんを持つので残業は調整しにくい形にはなります。
また文系色が強い営業に関しては、飛び込み営業などはなくて決まった企業さんと付き合うのがメインになるので多忙ではありません。営業職のなかでは舞ったりした雰囲気になるといえるでしょう。