就活の技術面接は最終面接の一つ前に位置していることが多いです。技術面接を乗り越えられれば内定はグッと近づきます。本記事では技術面接で学会のようなプレゼンをしてはいけない理由を説明していきます。
下記の記事では企業担当者の興味を惹きつける研究概要について書きましたので、今回は研究概要を用いたプレゼン手法に焦点を当てました。
エントリーシートを通過させればいよいよ面接。技術系ならば重役や研究所長の目の前でオリジナルの研究概要資料を使って技術発表を行います。 伝わりやすい資料を作る上で欠かせないのは聞く人の立場を考えることです。文系の人なのか、理系の人なの[…]
研究概要ではキーワードとして”コストと絡める””自分の頭で研究を進めていると認識させる”という二点を重視するべきだと書きました。
資料が上手く作れていても肝心のプレゼン手法が良くないと印象は悪くなります。学会のようなプレゼン方法では失敗する可能性が高いです。その理由をご説明します。
学会プレゼンは技術面接で通用しない
パワーポイントを用いたプレゼンを学会で行う場合、上手いプレゼン資料には発表で最低限必要なビジュアルや単語だけを記述してあります。遠目から見た際に文章を読ませない配慮です。
研究結果の紹介はスライドの図や単語を指しながら口頭で語られます。ここで研究成果を時系列順に結び付けて物語として紹介するのがコツです。これは物語が人の興味を強烈に惹きつけるからです。
記憶する際にも記憶する対象同士をストーリーで繋げて覚える記憶術も存在するほど、人の脳に印象として残りやすいわけです。
しかしこの発表法は聴衆にインパクトを与える反面、スライドに単語しか書いていないため予備知識ない人が理解することは困難を極めます。
つまりバックグラウンドのない技術者に研究紹介をする技術面接では全く逆効果となる訳です。
技術面接で人を感動させる必要はない
学会プレゼンで印象に残る良い発表にする方法は凝った図表を用いることと、壮大な研究成果の連なりを物語としてエンディングまで結びつけることです。
一つのハッピーエンドの物語を見る気分になった観衆はカタルシスを感じて「いい発表だった!!」という気持ちになります。
最初に分野の常識的な事象を説明して「我々の研究で〇〇が出来れば△の制御を達成することが出来るため〇〇を目指しました」と宣言します。
序盤から細切れに研究結果をストーリー立てて説明していきます。最後に「何度も壁にぶつかりながらもあの手この手で〇〇という結果まで辿り着きました!!」というのが常套句です。
この手法を教えてくれたのは研究室の友人です。その友人は色々な発表会で何度も何度も賞を取っていました。
しかし技術面接でカタルシスは必要ありません。あくまで本人の素養と研究力を見極めるためにやっているのですから。
学会プレゼンは紙芝居に似ている
前述の研究発表方法で聴衆が満足する理由は紙芝居を考えると分かりやすいです。紙芝居では語り手が口頭でストーリーを紡いでいくことで、脳の想像力を働かせた観衆は静止画の中に壮大な世界を描き出します。
想像力で補完して楽しむモノは能や狂言・落語など伝統的文化に多くみられます。小説を読んで世界に浸るような感覚を覚えるのも同じ現象でしょう。
人間の想像力は素晴らしい能力です。しかし、なぜストーリーを聞いただけで壮大な世界が想像できるのでしょう。
それは語られる言葉がストーリーだと認識できるからです。
賞を取るような人の発表は分かりにくい言葉を上手く図や例などで視覚的に分かりやすく説明しています。だからこそ、そこまで分野に詳しくない人でもなんとなく分かった気になることが出来ます。
だからストーリーに満足して分かった気になるだけで、真の研究の中身はよく理解できないままです。
技術面接での研究プレゼンはひとつの研究成果を誠心誠意説明する
もし紙芝居が英語で行われたら大きな感動は得られません。聞いている本人が意味を理解できないからです。ただ静止画を見せられて詰まらない念仏を聞いているのと変わらなくなってしまいます。
紙芝居も”日本語を理解できる”という能力があるからこそ楽しめます。この能力を研究発表プレゼンでいうなら”同じ分野の基礎知識を理解できる”です。
就活の技術面接でプレゼンを聞いてくれる技術系社員は製品関係の知識は強いけれど、基礎研究としての土台はさほど残っていない人が多いです。
その ”同じ分野の基礎知識を理解できる” か怪しい人たちに紙芝居と同じ学会プレゼンをすると、「真の研究の中身が分からない上にストーリーにさえ満足してくれない」という最悪の結果になってしまいます。
技術面接は研究概要資料をそのまま読んでちょい足しする
技術面接では研究内容を伝えることよりも、あなたがどういう風に研究を進めているかを伝えることが大事です。
まずは話のタネである研究概要そのものを理解してもらって下さい。そのために研究概要資料には最低限知ってほしいことを全て詰め込みましょう。そして発表では分かりやすく纏めた資料を読み進めて説明していけばいいのです。
学会プレゼンのようなストーリーは全く必要ありません。
つまり技術面接でアピールすべきは研究成果でなく、一つの結果を纏めたときに次にやるべき研究をどう見つけたのかです。
研究結果に対して、どこで悩んで、どういう行動をとったのかを面接官は知りたがっています。実際に仕事をした際にあなたがどう活躍してくれそうか、興味を持って仕事を続けてくれそうかを見ています。
結果から次の結果を導き出した苦労話は必ずして下さい。きっと面接官たちの好感度が上昇します。内定に大きく近づくでしょう!