就活四季報が毎年出版されています。四季報というと会社四季報がもっとも有名で、就活生を対象にした就職四季報も毎年四月になると書店の平積みコーナーの一角を占領していたりします。
未知の体験であるというだけで緊張するのに、就活は「失敗できない」という思いも募ります。その結果、人よりも一歩でも有利な位置に立って内定に近づきたいと会社四季報や面接の達人などの参考書を手に取ってしまいがちです。
本稿では就職四季報が就活生にとってどういうメリットを持つのかを考えてみたいと思います。具体的に各企業の調査ページで筆者が思う貴重な情報はたった4つだけです。以下が貴重な情報です。
- 男女別採用数と配属先
- エントリー情報と採用プロセス
- 3年後新卒定着率・平均勤続年数
- 採用人数
男女別採用数と配属先
この項目で最も先に見るべきは採用実績校の項目です。掲載されている大学の中で自身の大学が存在するかをチェックしてみてください。そこに載っていなければ、残念ながら内定するのはかなり厳しいと言わざるを得ません。
実績校でない大学の学生が内定を得るのが厳しい理由
企業はこれまでの実績ベースで採用を行っているから、が答えになります。採用実績のない大学の学生は欲しがりません。
これは採用担当者の立場を考えれば理解しやすいです。
実績のある学校から採用して”はずれ”の人材だった場合、採用担当者は上司から「あの大学から採用したのにハズレだったのか。確率でそうなるものだ仕方ない」と言われます。ちゃんと会社のマニュアルに従って採用しましたから!!
しかし変に実績のない学校から採用して”はずれ”だった場合、採用担当者は上司から「今までの実績もないのに採用するからハズレたじゃないか。ふざけるな」と言われます。会社のマニュアルを破って自分が判断したことのため責任を問われます。
責任を問われれば採用担当者は昇進などにも響きます。つまり採用担当者は保身のために”基本的に採用実績校以外からは採用しません”。
採用実績校の採用人数は必ずチェックする
自分の大学を見つけたら、採用されている人数をチェックしてください。入社人数が1人の場合は”コネ入社・天才(何かを見出されて入社した人)入社”の可能性があります。
その場合はさらに前々年度の採用実績資料を見てみましょう。そこにも名前が載っていれば”採用のターゲット校”となっていることが分かります。ターゲット校であれば十分に合格する可能性はありますので、挑戦してみる価値があると思います。
男女別採用数は意味のない指標
男女別採用数では基本的に男性の方が多いです。(化粧品メーカーなどはそうではないかもしれない)。これは理系修士まで進む学生が圧倒的に男子が多いのが原因でしょう。従って、男女別採用数はさほど重要な指標ではありません。
ただ極端に毎年の女性採用が少ない会社だと、採用された後に男性ばかりの職場に放り込まれ、肩身の狭い思いをしてしまう可能性は否定できません。その逆もしかりです。職場の環境って案外と大事なので、男女比は考慮しておいた方がいいかもしれませんね。
コラム: 女性は就活に有利……かも?
性別で就活の通りやすさが変わるとは言いませんが、もしかすると修士以上卒の化学系学生の就活では女性が有利かもしれません。
各社ともに女性の正社員や役員を増やそうとする機運が高まっているため、積極採用する傾向にあるからです。筆者の周りの女性でも一度も落ちなかったという逸話を残している人が数名いました。羨ましい限りです。
エントリー情報と採用プロセス
この項目で注目すべきは採用プロセスの欄です。筆者も就活を始める前は「本当にこの通りに進むのか?」と疑問視していました。しかし実際に経験してみると、殆どの企業が概ね書いてある通りの選考をしてきました。
狙っている企業で内定まで辿り着くために経る採用プロセスをしっかり確認しておきましょう。
採用プロセスに記載されている日程は眉唾もの
ただ筆者が気になったことは各選考に記載されている実施時期です。筆者自身の体験と照らし合わせると完全に眉唾モノといえます。
筆者が就活した時期は前年度から特に経団連の指標に変化はなかったのですが、殆どが前年度の情報よりも数週間早く実施されていました。日程観は前年度の情報などあてになりません。
自分が相対的に見て「先頭に立っているか」「出遅れているか」を知っておくと、選考中の企業数を安全マージンを持って管理することが可能になります。 就活中は友人やネットの掲示板などを利用して情報感度は常に高めておくことが大切です。
エントリー情報は意味がない
エントリー情報欄にはESの通過数や技術面接での通過人数などが記載されています。しかしながら、エントリー情報からESが通った際のおおよその内定確率を見積もることはできません。
まあ活用しようとしても選考の内容については殆どの企業でNAとなっていますが……。
採用面接は企業とのある種のお見合いです。相手と性格が合えばマッチングし、合わなければ落選します。
不思議な話ですが、面接を重ねていくと「ここの企業は合わないな」と感覚で分かるようになります。そこには確率など存在していません。ただ相性が悪いだけの話です。
3年後新卒定着率 筆者の判断基準
3年後新卒定着率はチェックすべき項目です。そこに入社した先輩方がたった3年で職場を離れざるを得なかった確率を示しています。
個人の事情があるので、この欄が100%にならないことは当たり前でしょう。また化学メーカーの場合は平均値が90%程度であることも知っておきましょう。
毎年の変動を加味しても85%を切るのは恐らく過酷な労働を強いられる”ハズレ部署”があるとみていいと思います。
ゆとり世代と揶揄される新卒たちも馬鹿ではないので、離職するメリットと会社にしがみつくメリットを天秤にかけた上で離れることを決断したのです。
筆者はそのような会社は極力避けるように就活を行っていました。
大企業でもブラック労働を強いられる会社は星の数ほどあります。化学メーカー系などはホワイトな企業が多いと思いますが、この指標を利用してブラック労働を避けましょう。
平均勤続年数 判断基準
全社員の平均勤続年数の基準として一部上場化学メーカーだと平均を15年として判断できます。筆者は以下のように判断していました。
20年に近い ⇒ 超ホワイト企業
15年付近 ⇒ 普通のホワイト企業
15年未満 ⇒ グレー企業
10年未満 ⇒ ブラック企業
20年以上も勤続年数がある企業はほんの一握りです。20年に近い普通のワイト企業を狙っていくのが正攻法かと思います。
長くなるので別記事にて続きを掲載しています。就活四季報の活用方法② ―給与など待遇に関する情報― も併せてご覧ください。給与や待遇面で見るべきポイントもご紹介しています。
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