平均年収や待遇を就活四季報から読み解く

就活四季報で得られる企業情報の待遇面「給与・ボーナス・有給休暇の多寡など」を記した項目の見方を書いていきます。

就職四季報の平均年収は参考程度に

就活四季報に掲載されている一部上場化学メーカーの平均年収は全く実態を反映していません。

いわゆるBtoBと呼ばれる、企業相手に商売を行っている多くの企業は「課長・部長などを除外した組合員のみの平均」を掲載するといった風に平均年収を低めに見せる努力をしています

理由は簡単で取引先に足元を見られるからです。「そんなに高い給料だせる利益率があるなら製品の値段下げてよ」とお客さんから言われないようにです。

化学メーカー全般でこの傾向がみられます。またどういう風に低く見せるか、という手法は各社によって異なります。従って掲載されている平均年収はほぼ意味を為さないと考えて間違いないです。

ホールディングスの平均年収は注意

注意したいのはホールディングス制を取っている会社です。

ホールディングスは持ち株会社として経営戦略の舵取りをする会社です。ここにいるのは意思決定権を持つ上のクラスの人間だけです。従って必然的にホールディングス自体の平均年収はかなり高い数字になります

新卒社員が知りたい平社員の給料とは全く異なるスゴイ高額の平均年収になってしまうわけです。

〇〇ホールディングス株式会社という名前の一流化学メーカーって思いつくだけでも幾つも存在します。

間違っても会社四季報の「平均年収が高いから」という安直な理由で就職先候補を厳選しないようにしましょう。

年齢毎平均年収も正確な値は期待できない

賃金は役職が付くことで大きく上昇します。年齢が上がったら一応は定期昇給で賃金が上がりますが、役職ほど大きくは響きません。

25歳、30歳、35歳の平均年収が記載されていますが、企業ごとに平均を取る母集団が異なっていますので宛てになりません。

同じ30歳であっても過去の実績や運などによって役職の階級が異なるため賃金も段違いだったりします(昇進で大事なのはデカい仕事を出来るか否かの運だったり……します)

平均年収は職務の大変さに比例する

また一般的に営業や開発などの顧客とのやり取りがあって、売り上げに直結する職責では昇進が早いです。逆に研究のようなに顧客とのやり取りがなく、お金を生み出さない(ひたすら垂れ流す)役職では昇進は遅くなります。

要は楽な仕事だと昇進せず、しんどい仕事だと昇進が早いよということです。この点は報われやすい点かなと思います。

年収は直線的に上がるものではない

昇進によって一気に給料がアップします。それに伴って給与も直線的に増加するというよりは、階段のように段階的に上がっていくイメージです。早い時期に主任になればより高い生涯賃金に上り詰めることが出来ます。

課長職にまでくれば裁量労働制に移行するため労働基準法から外れます。春先にベアなどで話題になる会社 VS 労働組合という構図が見られますが、課長職以上になると法的に会社側という立ち位置になります。

月平均残業時間は部署によって大いに異なる

月平均残業時間が20時間を超えていると、残業が多いという印象です。

一般的に自動車・電子材料・ITなどの分野では製品の新陳代謝が激しいため、忙しくなりがちです。

残業は個人個人で異なると思いがちですが、実際は所属する部署ごとに天と地ほどの差があります。特に大企業などで手広く事業を行っている会社は扱っている製品ごとに残業時間や忙しさが全く異なります。

例えば化学系メーカーだと、ラボでの研究職はお客さんがいないので忙しくなりません。逆に営業職や開発職などでお客さんがいると、納期に追われて忙しくなります。

そこには滅茶苦茶忙しい部署が毎月40時間の残業を平均でやっている中で、研究部門の人間は毎月8時間しか残業していないという歪な現実があります。それをまっ平にして 月平均残業時間 を割り出しているため十数時間とか微妙な値が出てきています。

従って、新卒で入社して配属された部署がどれくらいの残業時間なのかが一番の問題です。月平均残業時間は平均値が低いに越したことはないという参考程度にみておきましょう。

有給・夏季休暇・週休など休みの記述は真実

有給の取得実績や夏季休暇の有無などの項目は真実です。この項目は特に隠す理由がないことと、回答しやすいことが理由です。

週休二日制と完全週休二日制に注意

毎週の土日が完全に休みな制度が「完全週休二日制」と表記されます。

よく求人誌などに「週休二日制」と表記がありますが、これは一か月に1回でも土日の休みがあれば表記できてしまいます。つまり月5日休み。

36協定では週40時間以上働かせてはならないので、36協定に従えば必然的に完全週休二日制になると思います。つまり月8日休み。

「完全週休二日制」と「週休二日制」 は年間休日にして36日の差があります。雲泥の差です。就活をする際はお目当ての会社が完全週休二日制を採用していることを確認下さい。

ボーナスは何か月分かを確認する

思わず金額に目が行ってしまいますが、お目当ての企業で何か月分が出ているかをチェックしましょう。入社して受け取るボーナスは自分の基本給の何か月分という計算方法で支給されます。

中小企業の目安: 1-4か月分程度
大企業の目安 : 4-6か月分程度

中小企業と大企業で収入に差が出る原因がボーナス額です。業種によっても異なりますが、東証一部上場の化学メーカーであれば5か月分程度が平均と思います。検討している企業を横並びで評価してみると面白いかもしれません。

ボーナスで平均年収の多寡が決まる

月40万円の給料というと高年収だという印象を持ちます。しかし単に年収換算すると年間480万円しかありません。抱いた印象よりもだいぶ低い値ですね。

しかし正社員にはボーナスがあるので一気に底上げされます。例えば大企業で一年のボーナスが上記に挙げた5か月だとすると月40万円の給料でも年収680万円になります。抱いた印象とだいぶ近い値になりました。

年収はこのようにボーナスの寄与が非常に大きいです。しかも役職が上がったからといって、ボーナスが10か月分貰えるようになるわけではありません。

部長も平社員も〇か月というのは同じ数字なのです。ただ一か月分の給料が違うだけです。なので会社として何か月分のボーナスを出しているかは必ず確認したほうがいい項目です。

労働組合の存在を確認する

労働組合は企業と対等に交渉が出来る労働者の心強い味方です。殆どの大企業には労働組合が存在していると思いますが、特に中小企業を狙う方は必ず確認をしてください

労働組合は労働三権を実現するための大切な組織です。毎年のベースアップやボーナスの交渉なども彼らが行っています。

労働組合がない場合、労基法に反した過酷な労働を強いられたりした場合に 個人VS企業 という辛い勝負を挑まねばならなくなります。法人と個人が争うのは時間的にも権力的にも不可能に近い。

大企業ではたいていは労働組合が存在していますが、中小企業だとそうはいきません。しっかり確認が必要です。残業代の不払いや不当な労働など様々な悪が企業に蔓延っています。それは何も中小だけでなく大企業にも普通に存在しています。

もし自分がこういった不条理な労働に出会ったとしても、労働組合があれば簡単に相談して対処してもらうことができます。従って、出来る限り労働組合が存在している企業を選ぶことが賢明です。

ブラック企業を見つけるために

”ブラック企業大賞”という言葉で検索を行うと名だたる大会社が沢山掲載されているサイトが出てきます。面白いのでぜひ試してみて、志望する会社選びに役立ててみてください。

待遇に関する情報のまとめ

  • 平均年収は真実ではない。ボーナスが何か月分かは要チェック
  • 残業時間は部署によって雲泥の差がある
  • 完全週休二日制かどうかを確認すべし
  • 労働組合の存在を確認すべし

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