本稿ではこれから化学系研究室に配属されようとする学生の方々に向けて楽な研究室入りたい研究室を選ぶための手段を記述していきます。
「研究をする前から楽さを求めるとは何事か」と声が聞こえてきそうですが、ブラック研究室を回避することは今後の人生において重大な意味を持ちます。
ブラック研究室の定義
- 教授から罵声が飛んでくる。メンタルが壊れそうになる
- 労働時間が14時間以上(土、日も普通に出勤)
- 平気で徹夜がある
- 学校に来なくなる者・行方不明者・自殺者が出る
- 就活をさせてもらえない
楽な研究室という定義が曖昧なのでブラック研究室の逆ということで、ホワイト研究室の特徴を持つ研究室の見つけ方を書いていきます。
ホワイト研究室の定義
- 教授が人格者でマトモな発言をし、学生のメンタルケアも気にしてあげる。
- 労働時間が12時間未満 (土日休み)
- 徹夜はほとんどない
- 学校に来なくなるものなんて居ない
- 研究室として就活頑張れよと応援してくれる
今書き連ねて気付きました。筆者が居た研究室は上の定義を一つも外していない完全なるホワイト研究室でした。別の記事でちょっとでも辛そうなこと書いてすみませんでしたぁ!!
さてホワイト研究室の定義が分かると行動指針が立て易く成りました。筆者が三年間研究室で過ごした経験から研究室を選ぶときに取るべき行動はこうです。
研究室・教授の口コミは研究室で現役で研究しているM1, M2から聞き出す
つまり何時まで研究室に人が居るか、教授の人柄はどうか、徹夜はどの頻度であるか、学校に来なくなった人はいるか、就活は自由に出来ているか。土日出勤は常にあるのか。
大学院に属するM1, M2は一年過ごしただけあって教授の人格は掌握しています。絶対に嘘偽りのない情報を持っています。
しかし、恐らく面識のないあなたが研究室内のM1、M2に質問をすると舌触りのいい言葉で対応されるでしょう。当の筆者も何度か尋ねられた時に当たり障りのないほわっとした言葉で返答した記憶があります。
我々内部の人間からするとネガティブ系の情報は今年度の新入生の寄り付きが悪くなるから言いませんでした。しかし仲の良かった後輩などには真実を教えていました。ブラックな研究室に当たったら可哀想だからです。
それでも言葉は濁しますが。
従って話を聞きたいM1,M2と親しい人に聞いて貰うといいでしょう。本音が出てくると思います。出てきた本音を同期の友達で持ち寄って情報交換をすればかなり精度の高いスクリーニングが出来ます。
就活と同じで研究室選びも情報戦です。友達は大切にしましょう
研究室選びで確認してほしい事項
1, 就職実績
あなたがいいと思った研究室の就活実績績を覗いておいてください。大抵は学生課とかに問い合わせれば閲覧させてくれるはずです。
そこに並んでいるのは、あなたがおそらく将来的に入ることになる企業です(確率は60%くらいかな)。
比べれば分かりますが、同じ化学系でも無機・有機・生物など得意分野は異なるため、研究室によって就職先の毛色が違います。
あなたがぼんやりと思い描いている就職先を想像して研究室を選ぶようにしましょう。研究室はただの通過点に過ぎません。
常にその先を見据えて行動することで後悔も少なくなると思います。
2, 教授の年齢
どれだけ良い教授でも年齢には抗えません。定年を迎えて在籍中に退官(退職)されることになれば、教授の下についていた学生は研究テーマの変更を余儀なくされます。
また就活時にも担当教授をエントリーシートに書くことが多く、名の知れた教授だと選考が通過しやすくなるメリットもあります。
必ず自分がM2になったときにも継続して同じ教授となるように年齢確認は忘れないでください。
→年齢が分からない場合はKAKENサイトを覗いてみましょう。教授名で検索すれば来歴が出るため、学歴からおよその年齢は推定可能です。
専攻分野における特色について
拘束時間が短くてラクな分野は無機化学系
研究室でゲームとかしてグダグダしたいという人は迷わず無機系を選んでください。なかでも暇な研究室は院生とかの間では有名なことが多いので、探せばもっとも楽そうな研究室は見つかりやすいです。
筆者の友人はひたすら無機研究室で「艦これ」をプレイしていました。そして適当に研究して卒業していきました。学部時代並みに早く帰っていることが多くてめちゃ暇そうでした。羨ましかったです。
拘束時間が長いのは有機化学系・バイオ系
特にバイオ系は四六時中生物のお世話をしないと研究にならないため、土日も研究室にきて生物のお世話をするのが基本です。
友人は週休 0 or 1日の生活を続けていました。もはや休みもへったくれもありません。
有機化学系も研究対象である有機物を合成する時間が数時間から一日単位で掛ります。
どうしても実験が多いために拘束時間が長くなりがちで、土曜日も研究室に出勤しなきゃいけないことも多々あります。
研究室選びは情報戦
面白いことにデマと真実が入り混じった噂が蔓延し、毎年のように人気研究室が変わります。
安定して人気だった研究室も、ある年だけは志願者が少数だったりします。
間違ってはいけないのが、人気のある研究室=あなたにとって良い研究室ではないことです。
筆者の学部では授業が面白いと定評がある先生のところに毎年学生が集まっていました。
内部を知っている院生からみると何故あのブラック研究室に人が集まるのかという話がよく出ていました。
学生たちはその先生の門下で働く院生たちが昼夜・土日を問わずに出勤して働いていることを知らなかったのです。だから人気だったのです。
もちろん院生は知っていますが、そんな情報は表に出ないため研究室を知らない後輩には行き渡らないのが現状でした。
皆さんはしっかり先輩を捕まえて、根掘り葉掘り噂話を引き出してくださいね。
院生の間で出てる噂は大体が真実ですから。(というか他研究室の良くない情報は「あくまで噂だよ」という一言を付け加えてぼやかす 笑)
まとめ
楽な後悔しない研究室の選び方は
- 無機化学系で研究室を吟味する
- 就職実績を確認しておく
- 教授の年齢も退官間近でないかだけ確認する
- 先輩から楽そうな研究室の情報をうまく引き出す。(研究室に人が居る時間帯、教授の人柄、徹夜の有無、行方不明者や登校拒否はいるか、就活は自由に出来るか、土日出勤はあるかetc)
- 人気に惑わされない
- 自分を信じて選択する
楽な研究室選びというテーマで書き記してきましたが、結局は先輩からどれだけ情報を引き出せるかの勝負です。
研究室にラクさを求める方も、やりがいを求める方も、先輩に徹底的にアタックして疑問点をなくしてから研究室を決定しましょう。
ちなみにどの研究室を選んだかで大体の人が就職先、つまりは長い人生を何をして過ごすかが決定します。ゲームのようにセーブ&ロードができない人生なので、一度決めたら自分の決断に誇りを持って進んでいってください。