理系の研究室選び

研究室とは
理系なら大学4年生から配属される研究チームのことです。文系学生の方でいうゼミと同様です。教授を筆頭として准教授や助教授などの上位者が運営方針を握っています。
研究室では大学4年生が一番下っ端です。その上に院生たちがいて、それら学生を統括しているのがドクターやポスドクと呼ばれる人たちです。
理系研究室に配属されると
研究室に配属後は学生一人一人に研究テーマとデスクが与えられます。場合によってはPCも貸し出されますが、基本的には個人のPCを利用することが多いです。
デスクは師匠となる修士1年生の近くに与えられます。そして師匠に学びながら少しずつ研究室内での行動を覚えていきます。
研究室では一定期間ごとに研究報告を行って纏まったデータを学会発表するという流れになります。学部4年生では1年後に卒業論文の執筆と発表が控えている上に、研究室での催し物を行うメイン幹事になります。
油断しているとあっという間に時間がなくなって論文と発表資料作りに追われる日々になります。初めてだらけで良くも悪くも経験になると思います。
研究室での拘束時間
理系の博士やポスドクはブラック企業顔負けの労働量を誇ります。月の労働稼働は300時間を超える者も全体の4割はいます。一般企業での労働時間は160時間ですので、これは残業140時間にあたります。
修士・博士と上っていくごとに仕事は大変になっていきます。入りたての大学4年生は17時とかに帰宅が可能ですが、研究室に慣れてくるごとに長くなっていきます。
修士でも研究分野によっては夜20時に帰るといったサラリーマン顔負けの生活を送ることになります。罪深いのは無給で学費を払って労働するという形になることです。
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研究室は人間関係が大事
研究室は狭い社会そのものです。嫌いだったりウマが合わない人間とも共同生活を送る必要があります。
逃げられないため、内部にいる人間に不穏分子を持たないことが肝心です。研究分野に強いこだわりがなければ、仲のいい人たちがいる研究室に入ることをオススメします。
もしハズレを引いてしまったら辛い日々を過ごすことになります。その際は研究室移動も考えましょう。下の記事では実体験を交えて研究室の考察を行っています。参考になれば幸いです。
大学の研究室生活が楽しいか否かは、研究内容というよりブラック体質ではないか、苦楽を共にするメンバーと仲がいいか、の二点によって決まります。 ブラック体質な研究室は毎年のように行方不明者が出ます。数年おきに死亡者も出ます。ブラック企業[…]
良い研究室を選ぶ方法
学生同士での人間関係と同じくらい重要なのが教授の人柄です。講義でみる教授の人柄で研究室を選ぶのは危険です。理由は猫を被っている教員が多いから。
1対多数の講義ではよい教員だと感じても、研究室では学生の面倒を全くみない教員も多く存在しています。
猫を被った教員を見破るには素顔を知っている院生に人柄を質問するのが一番です。ただ上手く聞かないとはぐらかされるので、下記の記事を参考にしてよい教員を探してみましょう。
また研究室の厳しさと研究成果は比例します。厳しいところほどよい研究成果を上げているところが多くて資金も潤沢です。ご自身が研究に対して求めていることはやりがいかラクさかでもおススメの研究室は変わります。
詳しくは下記でなぜ教授の人柄が大事なのかを実体験を踏まえて紹介しています。
大学三年生ごろになると研究室選びでざわざわしてきます。 これから踏み込む研究室という閉じた未知領域は、どんな場所なのか、やりたいことはできるのか、友達付き合いはどうなるか、など気になる方も多いと思います。 ここでは筆者の経験に[…]
就職先はチェックしよう
- 研究内容
- 就職先
- 研究の拘束時間
実は研究室によって上記の事項がだいたい決まってきます。
就職先が決まるため人生の方針が研究室で決まるといって過言ではありません。とくに研究室の拘束時間は実作業を伴う分野は飛びぬけて長いです。機械工作とか化学合成とか結果を得るために現場での作業が必要な分野はブラック企業並みの拘束時間になるところもあります。
逆に体力的にラクで緩いのはコンピューターを利用したシミュレーションや計算系です。とくに筆者が経験した有機化学系の研究室について詳しい情報は下記の記事で扱っています。
ここでは筆者がいた有機化学系の研究室の全貌について書いていきます。包み隠さず真実を記載しているので有機系に進むかどうかの判断の参考になれば幸いです。 有機化学系研究室の活動とは 大学の研究ではまだ世にない技術や知識の獲得を目指[…]
大学院に進学すべきか
理系は修士を取らねば研究開発職に就くことは困難です。研究開発を仕事にしたければ大学院に進む必要があります。
なぜなら企業では修士号以上を持っていないと研究職には配属してくれないためです。
「本当に研究がやりたいことか?」という根本的な問いを自分にしてみてください。大学院は学費も時間も消費します。
とくに20代前半の貴重な時間を”給料のでない研究行為”に割くことに意味を見出せるかがポイントです。「時間が勿体ない」とか研究がしんどいと感じた方は、学部4年生で卒業して就職する方がよいと思います。
学部の一年間で研究が”好きか嫌いか”を判断して迅速に行動を起こす方が将来的にプラスになると思います。詳しい記事はこちらです。
本稿では筆者の経験から大学院に進むべきか否かの考察をしていきます。 大学院は研究が本当に好きな人なら最高の場所ですが、 そこまでのめり込めない人は行かない方が賢明かもしれません。 実際に有機化学研究室で修士を取った筆者の独断[…]