大学の研究室生活が楽しいか否かは、研究内容というよりブラック体質ではないか、苦楽を共にするメンバーと仲がいいか、の二点によって決まります。
ブラック体質な研究室は毎年のように行方不明者が出ます。数年おきに死亡者も出ます。ブラック企業よりも過酷・無給という、日本という国で起きている事象とは思えないことが普通におきます。
ホワイトな研究室を選ぶことはめちゃ大切です。しかし「こいつらとは合わないな」と感じるメンバーと三年間過ごす(修士卒の場合)のも地獄でしかありません。それほど研究室メンバーは大事です。
本稿では大学の研究室と研究メンバーの両方を上手く充足する方法について述べていきたいと思います。
研究室は仲の良い同期と一緒に入ろう
研究室ではイベント企画、研究での些細な躓きの相談といった、運営に関わる面において相互に協力して取り組むことが必然的に求められます。
大学の研究室っていわゆるソロプレイが絶対に出来ない仕様になっています。研究では教授の顔色を窺って次になにをやろうかを相談する必要があり、ボウリングや飲み会などの運営も同期と分担せねばこなせない量です。
お互いを監視しあう小さな村のような環境で、表面的に人間関係を取り繕わねば生きていけません。もし関係を拗らせたら村八分のようになり、逃げ場がありません。来なくなる人がいることも想像に容易いはずです。
研究室の帰りにくい雰囲気は全員が発している
特に化学系で夜遅くまで人が残っている様子は、さながら小さなベンチャー企業みたいです。帰りにくい雰囲気の中で「後輩まだ帰らねえのかな」とか思いながら仕事しています。筆者もそうでした。
教える立場にあるM1やM2は直属の後輩が帰るまで帰れないのです。ベンチャー企業という例えは間違っておらず、大学と呼ぶのがおこがましいレベルですね。
つらい環境に慣れないように注意するべし
人間はどんな環境にでも適応する高い知能を持つ動物です。
恐ろしいもので、大学の研究室で仕事をしていると、時間を奪われ続けるつらい環境に慣れてしまいます。
拘束時間の長い研究室でも何かと理由を付けて、早く帰るように心がけましょう。夜遅くまで仕事をしたところで残業手当なんて一切出ません。あなたの大切な時間が消耗されていくだけなのです。
とくに「休日に何をすれば良いか分からない人」は相当な危険信号を発しています。好きなことを見失って、ストレスの捌け口を失っている状態です。少しでも早く帰って、熱中できるものに時間を注ぎましょう。
それだけでもストレスは段違いに解消されます。あなたが大学生であることを忘れないようにしてください。
人間関係の悪い研究室に行かない方法
大学の友人が入った研究室はその他のメンバーがやんちゃなウェイ系? の人間で構成されていました。狙ったように彼らの排他的な”仲良しグループ”で固まって入ってきたため、その友人は研究室生活が大変つまらなかったようです。
人間の日常はなにげない雑談で構成されているため、話す相手がいないと一気に日常が味気なくなります。
逆に誰かと話しながら常に笑顔でいられれば、たとえ「刺身にたんぽぽ乗せるだけの仕事」のような恐ろしくつまらない作業でさえ苦痛にはなりません。何も話さずひたすら単純作業を繰り返すから辛いのです。
残念ながら大学の研究室は労働基準法もおよばぬ闇の閉鎖空間です。正直、話す友達がいないままだと心を病む可能性が高い。研究どころじゃないです。
研究室の人間関係は自分で決められる
大学研究室の定員以上に応募者多数の場合は、基本的にGPA順で上から内定していきます。そのため一緒の研究室だと思っていた仲良しの友達が別研究室になってしまう可能性があります。
対策として各人の目指す研究室を予め聞きだしておき、仲のいい友達と人気でない研究室に入るという術があります。
化学系研究テーマなのだから妥協すべき
批判されることを承知で書きますが、やりたい研究テーマなんかより
ブラック研究室でない・教授がマトモ・信頼できる友人がいる
という三拍子が揃っていることが余程大切です。やりたい研究テーマが子供のころから手が出るほどやりたかったという研究でなければ(筆者を含め大抵の人がそうかと)適当でいいのです。
オススメはやりたい分野(有機化学・生物・無機化学・計測化学など)だけを絞って、その範疇にある研究室から上記の三拍子が揃っている研究室を選ぶこと。
4年生になって研究を始めてもいないのに、何分野の〇〇がやりたいなんて分かり様もないじゃないですか。それなら研究室生活を思い描いた際に確実に大事になる上記の三拍子を重視して決めるのが妥当ではないかと筆者は思います。
何を選んでも化学系の研究テーマなのだから多少の違いは妥協すべきです。
コネでの就職目当てに研究室を選ぶのもアリ
研究室が属する分野と大学の知名度という二つの要素で就職先がある程度決まってしまうのは事実です。
そこで逆の発想として自分の働きたい企業をいくつかリストアップし、そこへ入社した実績のある研究室へ入るというものです。
大学の研究室ごとに得意な就職先が決まっているため、目標とする会社への就職に一歩近づくことになります。
ひと昔まえだと有名研究室からの就活生は選考でかなり有利でした。教授のコネで”普通の学生なら内定確定”みたいな状況です。(最近でもコネ入社を見たので一定数の学生はコネ就職があります)。
大学院進学で研究室を変えるチャンス
多くの理系学生は4年生で一年間を過ごした後は大学院試験を受けて修士課程に進みます。研究室を変えずに進級することが一般的ですので、大学院に進んでも研究室同期の顔ぶれは変化しないと思って間違いないです。
これを逆手にとって気の合うメンバーがいる研究室へ転入します。
恵まれた研究室にいる人からすれば「そんな理由で研究室変えるの?」とか心ない反応をされるかもしれません。でも人生における幸福って人と人との繋がりが全てです。
それが脅かされている訳ですから、完全に「行動を起こすべき理由」なわけです。己の意見をキッチリと保持して毅然とした態度で研究室変更に突き進みましょう。
他大学の大学院はオススメしない
他大学に進学という荒業もありますが、研究室という閉所ではすでに人間関係がギチギチに固まっている場合が多いです。
転入生を受け入れる側からは、「よく分からんヤツが来る」としか思われず、我々としても蛇や鬼など何が潜んでいるか分からないブラックボックスに飛び込むような行為になります。
院試に受かるための勉強面でも、目指す大学の 過去問を取り寄せて 院試勉強をせなばなりません。他大学では自分が講義で全く習っていない分野から出題されることが普通です。結果として素直に現在の大学院に進むために勉強する負担に比べて何倍も大変になります。
他大学院へ進むべきは、憧れている教授の元でやりたい研究に情熱を燃やしたいというアグレッシブな学生だけです。居住地変更による家探しや引越も考えると、簡単に手を出せる選択肢ではありません。