俗に大手病といわれるように就活生は名前を知っている大企業ばかりにエントリーしがちです。大企業の内定競争で勝ち残れればいいですが、競争があるということは必ず負けてしまう人は存在しています。
大手企業の選考はそこまで魅力的なのでしょうか。多くの就活生は研究室で実績のある会社から製品分野をみて良さげな大企業を絞って応募していると思います。
待遇や賃金がいいという程度の理由で、世間や就活生の間で大手企業がフィーチャーされている気がしました。本稿では大手企業であるメリットとデメリットを検証していきます。
中小企業と大企業を分ける定義とは
中小企業① | 中小企業② | 小規模事業者 | |
資本金額 | 従業員数 | 従業員数 | |
製造業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 | 20人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
サービス業・小売業 | 0.5億円以下 | 50人以下 | 5人以下 |
中小企業の定義は中小企業庁によって定められています。特に中小企業は上表の①と②のどちらかを満たしていれば中小企業です。
そして大企業という定義はありません。つまりどちらも満たしていない企業は大企業です。
多くの化学系の就活生が目指す花王や旭化成などに代表される製造業では、資本金が3億円以上で従業員が300人以上いれば大企業です。
ちなみに例として挙げた2企業は資本金800億円以上・連結30000人以上です。いかに中小企業の定義と比べてぶっ飛んだ大企業かも分かります。
大企業は全企業の0.3%しか存在していない
有名大企業をみてしまうと中小企業の定義なんて簡単に超えられそうに見えますが、大企業は全体の0.3%しかありません。残り99.7%の企業は中小企業や小規模事業者に属しています。
日本には382万社の企業があり、大企業は11000社です。しかしその0.3%の大企業で雇用全体の30%を担っています。残りの70%は中小企業と小規模事業者による雇用です。
この雇用のパーセンテージは正社員だけでなく、派遣社員やアルバイトなども含みます。
したがって就活生が目指す「正社員」で「大企業」に就職するだけで言い方は悪いですが、全体の上位20%くらいに入るイメージなのかなと思います。
大企業の中でも東証1部や東証2部に上場しているのは4000社弱

上図は株式が上場している市場を表したものです。日本全国に会社は382万社あるなかで上場しているのはたった3600社しかありません。
その上場している株式市場の中でも、主に4段階くらいのカーストがあります。
もっとも上場の難易度が低いのがジャスダックやマザーズと呼ばれる市場です。次いで東証二部が続き、頂点には東証一部が君臨しています。
よくニュースで聞く日経平均株価というのは、東証1部に上場している中でも優れた大企業だけを選別したグループのことを言います。日経平均株価では発行株式数を加味した平均値であり、連日ニュースでは平均値の上下を報道しているわけです。
東証1部は会社数が多すぎる! 上場条件を厳しくする予定アリ
頂点であるからには一握りの企業しか東証一部にいないと思いがちですが、実は上場企業の6割ほどが東証一部上場です。
この状況ではもはや階層分けしている意味があまりないという議論が日に日に高まっており、東京証券取引所では2019年内にも上場条件を厳しくする予定で動いています。
具体的には時価総額が500-1000億円に設定されるという観測が多く、もし実施されれば東証一部企業は1000社程度にまで減少するでしょう。
就活の狙い目は東証二部上場のホワイトな大企業
花王や旭化成といった頂点に君臨している化学企業は東証一部に上場しています。こういった知名度のある企業や時価総額で数千億円を誇る企業たちばかりにエントリーしていると、全て落とされるという結果になりかねません。
就活先企業リストに織り交ぜるべきは東証二部企業です。上表でみたように東証一部ほど巨大企業でないにしろ、新興市場の1000社が届かないような盤石な経営基盤を持った会社が多数あります。
売上高や営業利益率などの経営指標を観点に将来有望な東証二部企業を選択することで、会社と一緒に成長することができます。成熟した大企業には不可能な急速な伸びを味わえる可能性があることも醍醐味の一つです。
給料面では大企業に多少は劣るでしょうが、上手く企業が伸びたときのやりがいを程よく感じられます。
東証二部企業を選ぶメリット・デメリット
東証二部企業のメリット | 東証二部企業の デメリット |
転勤が殆どない | 周囲の人間が悪い可能性 |
海外勤務がない | 超ブラックが隠れてる |
裁量を持ち易い | 年収が微妙 |
ホワイト企業はとことんホワイト | ネームバリューがない |
福利厚生は普通 | |
持ち株で一発当たる!? |
転勤・海外勤務が殆どないメリット
大手企業に行った際の最大のネックが転勤です。ムダに裾野が広くて海外に子会社や拠点をたくさん持っているので、ある程度の年齢になると海外拠点で駐在させられることが多いです。
しかも大体の海外拠点は発展途上国に多いです。化学メーカだと安く工場を作れる立地で化学系の原料調達が簡単な場所が選ばれやすいですね。
駐在したという数人の方々に話を伺いましたが、家族を残して単身赴任だったり現地に適応できず体を壊したりする人が多数います。会社のためにわざわざ海外で生活するとか、筆者の個人的にはありえません。
裁量を持ち易いメリット
大企業ならば組織としての意思決定にとにかく時間が掛かります。とくに致命的なのは、新規プロジェクトの初期費用などで大きな支出を伴うときです。
社員数百人の小さな企業ならば、縦割り階層もさほど多くないので数人の承認を得れば支出の許可が下ります。
しかし大企業では方々の部署にいる部長やら課長やらのサインを何十個も集めなければなりません。それだけで一か月くらい掛かってしまい、プロジェクトに間に合わないという馬鹿らしい結果を何度か目の当たりにしました。
筆者の界隈ではこのサイン集めのことをスタンプラリーと呼んでいます 笑
福利厚生はいたって普通。寮・社宅も化学企業ならある!
化学系企業は製品の専門性が高いため、高利益率を維持している会社が多いです。東証二部でも寮や社宅制度を維持している企業は沢山あります。これは企業サイトの募集要項をみれば載っています。
寮や社宅は高度経済成長期に相次いで作られ、今や老朽化の一途を辿っている建物が非常に多いです。今から企業に入ったらボロボロの寮に放り込まれるのは想像に容易いです。
けれど寮はとても安く住めるのでボロボロだろうが、なんだろうが住めば都です。一番お金のない社会人一年目に住居費が格安なのは強い味方です!
ラッキーな寮だと食事まで付いていたりするので願ったり叶ったりです。社会人になってご飯の問題は深刻なもので、毎日コンビニ弁当で過ごしていると体調がすこぶる悪くなります(筆者体験談)
まあ食事が付いているかまでは運の要素が絡みますが、ついている場合は多少不味くても有り難く頂きましょう。
人間性が悪い人物に注意!
社会人にとって一番難しいのが人間関係です。同じ職場で働くという関係上、ゴミみたいな人物とも上手くやっていかねばなりません。
上司や目上の人間に憂さ晴らしのターゲットにされる可能性もあります。そんなときは周囲で地位の高いマトモな人間に相談してください。きっと何かしらの対抗策を打ち出してくれるはずです。
罵詈雑言や暴力をふるったりして手に負えない場合は我慢していてはいけません。ICレコーダーなどで録音なりしておいて、いつでも証拠として突き出せるように準備しましょう。
下らない人物につきあって心を病んでしまっては元も子もありません。
淡々と証拠だけ集めたら社内の相談窓口や労働組合、なければ外部の相談窓口などに相談しましょう。上手くいけば嫌がらせをしてくる相手を退職に追いやることもできます。
やられたらやり返すの精神で強く生きていきたいところです。手を尽くしてもダメなら纏まった額を貯めて、転職することも視野にいれましょう。転職は全く恥ずかしいことでも、難しいことでもないので。
超ブラック企業に注意!
残業をつけないで12時間働くとかいうブラック労働に気を付けて下さい。東証二部に上場しているようなマトモな企業なら少ないでしょうが、一定数は存在していると考えています。
労働の対価もまともに払えない企業は潰れればいいのです。ひいては、それがブラック労働の撲滅に繋がります。
そんな事いってると飲食業やサービス業なんて務まらないとは思います。ですが化学系ならばホワイトでまともな企業が多いので、ブラック企業に当たってしまったときは是非とも転職を考えて下さい。
健康に人間らしく生活するために働いていることを忘れたくないです。
人間らしさが失われるくらいなら、きっぱりと仕事を辞めて転職するなり生活保護を申請するなりの作戦を考えましょう。
あなたが進むべき道は一つではありませんし、それに拘る理由なんて欠片もありません。ある程度纏まった金額を貯めたらさっさと会社を辞めて次の行動を考えればいいのです。
中小企業と大企業・上場企業の定義まとめ
- 中小企業および小規模事業者には明確な定義がある
- 大企業以上は全企業のうち0.3%しかない
- 中小企業の定義および上場企業の希少さより企業をランク付けするなら
上場企業>大企業>中小企業>小規模事業者 - 上場企業の中でもさらに縦割り階層がある。頂点は東証一部
- 東証二部も 就活先企業にすると就活の安全性が上がる