研究室は教授の人柄が大事

大学三年生ごろになると研究室選びでざわざわしてきます。

これから踏み込む研究室という閉じた未知領域は、どんな場所なのか、やりたいことはできるのか、友達付き合いはどうなるか、など気になる方も多いと思います。

ここでは筆者の経験に基づく化学系の研究室の”質”について書いていきます。

質とは主には漂う雰囲気・居心地の良さ・拘束時間と定義しています。

これらは規則だけでなく様々な人間関係の中で紡がれるため、数値で推し量るのがなかなか難しい感覚的な代物です。

同じ化学でも研究内容により拘束時間が天と地ほど違う

化学系は裾野が広いので生物系・有機系・触媒系・化学工学系・無機系などの幅広い研究室が存在しています。

いずれも拘束時間、ラクさなどが異なります。

研究室の教授による差が大きいですが、基本的には太字で記した系統は左から拘束時間が長い順で並べています。

特に私感ですが生物・有機系と触媒・化学工学・無機系の間では大きな隔たりがあるように思います。

研究室生活は教授の人柄で決まる

上記はあくまで一般的な傾向ですので、正規分布の中央値を比べたに過ぎません。

あなたが直面する個々の例では最も重要な要素は教授の人柄と考えてください。

拘束時間が長くとも、学生を大切にして細々と面倒を見てくれる教授もいれば、拘束は全くないけれど研究の面倒も一切見ないという教授もいます。

後者は一見すればラクそうですが、その逆で滅茶苦茶キツくて精神を病みます。

なぜなら研究室では卒業論文・卒業発表など節目に越えなければならない壁が存在しているからです。

壁を超える際に教授が全くアシストをしなければ、論文などを検索しながらどんな研究をすればよいか毎日苦悩することになります。

そして論文や先輩などのあらゆる手段を講じて、大きな苦難の末に研究成果を捻りだしたとしても安心はできません。それを評価するのは教授なのですから。

教授が「これは既出の内容だね。全然ダメ」と一言いうだけで努力は一瞬で全て水疱に帰すのです。研究室において教授の力は絶対なので厄介です。

下手をすれば卒業が危ぶまれるような事態にも陥ります。残念なことに友人がそのパターンで、私はその様子を間近で見てきました。

教授の本性を暴くのは口コミで

別記事にも書きましたが、授業では優しくて有能そうな教授でも研究室ではすこぶる評判が悪いということは往々にしてあることです。

研究内容などで決め打ちをする前に、必ずお世話になるであろう教授の表と裏の顔を確かめておいてください。

裏の顔を確かめるには研究生に話を聞くのが一番です。

テクニックとしてはA研究室の教授の話をB研究室の学生に聞くことでしょうか。研究生は「自分の研究室を宣伝しなきゃいけない」ため、別研究室の”悪い噂”ならあまり包み隠さずに真偽を話してくれると思います。

研究室で実際にあった怖い話

研究室に入ってテーマを与えられず、ひたすらテーマを教授にプレゼンしに行く生活を半年以上続けた学生が居ました。

テーマのヒントさえ与えてくれず、夜遅くまで文献を読み散らかしては発狂して帰っていく生活をしてました。

その学生は来る卒業研究の場でロクな結果を提示することが出来ずに場内が騒然となりました。

終了後の質問で滅多打ちにされ、何も答えられずそれでもスライドの前に立って説明しなければならない。

想像を絶する辛さがあります。

彼は強靭なメンタルで全てを乗り切って無事に卒業しましたが、大学院に行こうという気力は全く出なかったようです。

大学院から研究室変更は可能

学部で入った研究室がハズレだったため大学院からは別の研究室に移りたいという方もいるでしょう。

研究室で過ごしていると他研の情報が入ってきますので、明らかに羨ましく感じたら自分に素直になって研究室を移動する決断も大事かと思います。ただし筆者が困難だと感じるのは以下の点からです。

・教授を説得できる「最もらしい理由」を搔き集めねばならない

・研究室仲間から不信な視線を向けられる覚悟が必要

・教授との不和は避けられないため不退転の覚悟が必要

・そもそも移動が成功しない可能性がある

学部4年生の卒業研究が近づくと進路希望調査票が渡されます。

まず就職するか進学するかを選び、進学する場合は希望する研究室名を第三候補まで記入します。

この調査票は担当教授から学部の担当者へと渡されることになります。

この調査票を基に学部は院試験得点の上位者から研究室を振り分けていくため、偽りを書くわけにはいきません。

従って教授に気づかれないように別の研究室に移ろうという試みは見事に頓挫します。教授と面談することは必然。そこで最もらしい理由を述べられなければ、ただでさえ悪くなった教授の心証にトドメを刺すことになります。

最悪なのは希望先の研究室に空きがなかった場合です。

転属失敗で同研究室に院生として居残ることになります。自分の研究を辞めたいと言い出した研究生を教授がどう扱うか……考えたくもありません。

他大学院の受験も考慮しよう

大学院から他研究室に移ることに失敗した場合、院生の2年間は肩身の狭い思いをすることになります。貴方の転属が”ラクな研究”でなく、研究のステップアップが目的の場合は思い切って他大学院に出願してみるのは大いにアリです。

大学により院試日程が異なる

これが他大学を受けることの最大のメリットです。

自分の大学と併せて院試の弾が二発になります。

院試不合格によって突如として就活せねばならなくなる危険のリスクヘッジとしても活用することが出来るため、研究室移動を考えていない人にも他大学院の受験はアリかと思います。

ただし他大学では全く別の事柄を教え、その事柄のニッチな問題を院入試で出題してきます。したがって当該学部の過去問を入手することが何よりも大事な対策方法です。

過去4年分も過去問があれば、ちゃんと時間をかけて勉強すれば及第点まで届くと思います。

未知の他大学院研究室は必ず訪問しよう

もし勉強して院試に合格したとしても、いきなり外部から謎の学生が飛び込んできたら当該研究室の人たちは困惑します。心証も滅茶苦茶悪いです。

必ず当該研究室の教授にアポを取って、目指していることを伝えて研究室見学をさせて貰えるように日程を組みましょう。

見学して雰囲気を感じ取ったら自分の想像と違ったということも有り得ます。

見学で研究室も人も問題ないようでしたら、必ず院試の過去問を貰えるようにお願いしましょう。できれば過去5年分くらい貰っておけば安心です。

あとは勉強しまくって合格を勝ち取るだけです。

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