大量に送られてくる履歴書を採用担当者が全てを隈なく読むかといえばNOです。エントリーシートの合否は出身大学や自己PRやガクチカを軽く読んで判断しています。
履歴書やエントリーシートは面接に進むための重要な道具であると同時に、面接における話のタネです。互いに見ず知らずの人間同士が表面的にだけでも円滑に会話を進めるために存在しています。
誰が見ても一目で「話してみたい人材だ」と思わせるような書類でアピールする必要があります。
A3判履歴書に太ペンで記入してアピール
履歴書・自己紹介書はA4とA3と両方 ともに文具店で売っています。大学内の店舗なら確実です。
履歴書は必ずA3判を購入しましょう。A4判ではアピールする欄が本当に小さく、ほかの志願者と比較された際に見劣りします。
市販品だとアピカ 自分を売り込む履歴書 といったA3見開きタイプがオススメです。ネットで探せば自分で印刷することもできますが、一般のオフィス用である薄いコピー用紙だと貧相な印象になってしまいます。
字が下手でも大丈夫


筆者は字が絶望的に下手くそでしたが、気持ちを込めて丁寧に書けば選考で不利になったりはしません。
字の印象は大事なので0.7mmのボールペンを活用することをお勧めします。筆者が就活で愛用していたのは三菱鉛筆 油性ボールペン ジェットストリーム 0.7 黒 5本です。5本入りなので研究室と自宅に一本ずつおいておき、残り3本は予備として持っていました。
就活なんて「聖人君主でもない担当者が独断と偏見でESを選ぶ運ゲー」なので出来るだけアピールして選ばれやすくする必要があります。
これに限らずとも、インクが掠れずにペン先が滑らかなボールペンであれば何でもいいと思います。
間違っても便利だからとPCで書いてはいけません。IT系なら問題ないと思いますが、まだまだ昔の風習が残るメーカー系では手書きのほうが無難です。
履歴書の来歴は中学卒業から学校名を正式名称で書く
日本では義務教育は中学校までです。高校以降は履歴書に書く必要があります。また企業によっては出身高校の名前を気にするところもあります(例えば企業発祥地域の高校は優遇されるなど)
また「○○大学院」のように略した書き方は印象が良くありません。 しっかりと「○○大学大学院」と記述しましょう。文字は大きくて見やすいほうが絶対に好印象です。
具体的な記入方法として筆者は以下のように書いていました。
20XX年4月 〇立○○高等学校 ○○科 入学
20XX年3月 〇立○○高等学校 〇〇科 卒業
20XX年4月 〇立○○大学 〇学部〇〇科 入学
20XX年3月 〇立○○大学 〇学部○○科 卒業
20XX年4月 〇立○○大学大学院 〇学部〇〇科 入学
20XX年3月 〇立○○大学大学院 〇学部○○科 卒業見込み
以上
最後に「以上」を付けることにより改ざんを防ぐ効果があります。小切手の前に付ける¥マークのようなものです。
履歴書は段落分けして書く
記述欄は必ず一文字目を空けてスタートするようにしましょう。また8行ぐらい記述欄があるとすれば、文章内容の変化に伴って最低でも一回は段落を変えましょう。
段落を変えずに何行もダラダラと書き連ねてある文章は見た目が重いため印象が悪いです。
変な箇所で段落変更すると空欄が目立ちます。字の大きさで調整しつつ、出来るだけ空欄をなくしながら段落変更するのがベストです。記入欄と同じ枠を作って実際に書いてみてバランスを考えましょう。
書いた後は自分が面接官になったつもりで読んでみます。
小学生が書いた文章だと思ってあら探ししながら読むことが大事です。大概は文の繋がりや表現のおかしさに気づくので修正しましょう。
アピールポイントは文頭に持ってくる
一文だけで中身が伝わる文章がベストです。例えば自己PRで「AAAが得意」と伝えたいときを考えます。
「私は○○部で……な状況で、△△と行動できたためAAAに優れています!」とは書かないでください。
一例としてこの内容を書くならば、
「【AAAに秀でている】私は……な状況であっても△△と行動することが出来ます。その根拠は○○部で……という状況に陥っていたときに、、」と書きます。
自分が伝えたいことは目立つように文頭に持ってきてアピールしましょう。続く文章でアピールポイントを説明して聞き手の興味を掴み、詳細へと入るのが基本です。
このテクニックは面接でも通用します。面接では文章に書ききれない感想や状況などを補足して説明するとよいです。
堂々と話すだけで”優秀な人間”にみえます。
就活は騙しあいなので演じるスキルを身に着けましょう。優秀な人間に化けていれば、いつかそれが本物になりますから。
履歴書のテンプレートを作成しておく
現在の化学企業への就活では手書きで何枚も履歴書を量産する必要があります。完璧な履歴書を残しておいて、テンプレートにするといいです。
また自分の文字の大きさに沿ったガイド線を別の紙にひいておきましょう。記述する際に裏から透かしてガイド紙に出来ます。
就活用写真を糊付けする前に裏に名前を書く
証明写真を貼りつける際には写真の裏に鉛筆で名前と大学名を書くのを忘れないでください。
企業も何千枚も履歴書が来るため、糊付けした写真が何かの拍子に脱落する恐れがあります。万が一のための対策です。
写真に名前を書く際はのりと相性が悪いペンだと滲んで読めない場合があるため鉛筆で書いておくのがオススメです。
ガクチカや自由記述欄で書くべき内容

ESの自由記述欄になにを書けばいいのかを考察していきます。筆者の友人にはイラストや自分の説明を書いている者もいました。
筆者の友達がESでそれをやって見事に一人だけ落とされました。変な就活本にイラストを付けるなど書いてあることがあるので真に受けないよう注意してください。
自由記述欄とは別に「自己PR」という欄があるならば、自由記述欄には自己PR欄の内容とは別の自己PRエピソードを盛り込みましょう。
記入欄は全て文章を書きこむべきです。エントリーシートのような公の書類で奇を衒ったところでロクな結果になりません。
自己PRは3つ以上持っておくべき
自己PRエピソードは最低でも3種類用意しておく必要があります。
自己PRとしてESに書くのは多くても2つです。残りの3つ目は面接での無茶ぶり対策に必要です。
面接の中で別の自己PRエピソードを紹介する場面は必ず出てきます。淡々と質問に答えていたら、「ESに書いてあること以外で自己PRをして」という無茶ぶりを喰らった経験が何度もあります。
即興で話すことにならないよう準備しましょう。
自由記述欄で自己PRを書くコツ
自己PRでは”エピソード内での書き手の考え方”を知りたいです。
したがってエピソードの骨格となる”問題・問題に対する行動、行動の結果”だけ盛り込んではいけません。
自己PRにおける自分が行った行動から抽出しましょう。その行動が起こせるから会社にどんな価値が提供できるのかをPRするのです。
自己PRのダメな例
「学園祭で執行委員として予算を策定したが当日に予算オーバーした。だが予算は、実は5%のバッファを持たせて提示していたため事なきを得た」というエピソードを書くとします。
このエピソードのPRポイントを(用意周到に根回しをする行動力)などとしてしまうと、エピソードを読んだ人は「ああ上手く課題解決が出来ただけね」と受け取ります。
「行動力」って曖昧な言葉です。どんなエピソードでも「行動力がある」といえてしまいますし。PRポイントは エピソードの結果に至った過程から導きだすものです。
自己PRでの話の導き方
上述の文面なら「なぜ5%のバッファを持たせようと思った」か気になりませんか?
それは過去の予算案と出費のデータを見て、5%ほど足が出たときがあったからじゃないですか?
さらに「5%余裕を見た予算を提示しておけば、心理的効果が働いて結果として出費が予算内に収まりそう」と閃いたからではありませんか。
これらを踏まえると(データを読み解き、解決策を閃く発想力)とPRできそうです。
「発想力」は一見だけでは想像することが難しいです。従って読み手は「なんの発想力だ!?」と興味を持って読んでくれます。
自己PRの例文を書いてみた
自己PRの記述で意識するべきポイント
- アピールポイントは【】で括って目立たせる
- 主語は分かりきっているので書かない
- 「先輩と協力して」や「友人とともに」といった修飾語はいらない
- 事実だけを淡々と記入して、最後に結果に対する考察を述べる
【データを読み解き、解決策を閃く発想力】 ←みやすい結論を最初に持ってくる。標語みたいにすることでインパクト増
〇年生のとき学園祭執行委員として各サークルへ分配する予算案の策定を担当しました。 ←まず何の話題なのかを簡単に説明
策定にあたって前年度までの予算資料を俯瞰すると、多くの年度で出費が予算に対して数%超過していると気づきました。 ←自分が起こした行動を説明
そこで本年は5%のバッファを予め内包した予算を策定したところ、例年通りの予算超過がみられたものの、本来の予算額内に抑えることができました。 ←実施結果
予算ラインの設定による心理的効果と過去データ10年分を参照して決めた適切なバッファ量が功を奏したと考察しています。 ←結果のフィードバック
自由記述欄は字の大きさによって書ける分量が違うので一概に文字数は決められません。守って頂きたいのは「丁寧に、罫線に沿って、大きな文字で、空白の9割以上は、書くことです」
伝えたい中身だけ記述する
ESの自由記述欄では伝えたい本筋だけ記述しましょう。色々と話が飛ぶと本筋が見えなくなります。すると読み手が疲れてしまい、本来伝えたかった自身の魅力が理解されません。
今回の記述例でも”実は心理学専攻の友達が一緒に考えてくれた”とか、”実はイベント段取りの方を担当するつもりだったけど、その先輩が忙しすぎて急遽自分が予算案担当になった”とか伝えたいことは沢山あるでしょう。
それらは面接で口頭説明できるよう練習しておきましょう。エピソードの裏事情などを沢山話せると、エピソード自体に信ぴょう性や説得力が生まれます。
結果としてあなたという人物像が色濃く映し出されるため面接も通過しやすいはずです。
エントリーシートを書くコツ

エントリーシートは文章の羅列。したがって書き方の上手さが当人の評価に直結してしまう。こんな下らないことで面接に落とされるのは馬鹿らしいです。
文章力さえ多少マシにすればESも面接もめちゃくちゃ通過しやすくなると思います。以下に私が文章を書く際に気を付けていることを記述します。
不要な修飾詞はなるべく入れない
「私は〇〇サークルで行う、○○カフェの内装案を実現するための管理制度作りを行いました」と冒頭を書きだしたとしましょう。
ここに不要な修飾詞を詰め込むと以下のようになります。
「私は〇〇サークルで、〇〇カフェの内装案を確実に実現するためのしっかりとした管理制度作りを行いました」
【確実に】【しっかりとした】という言葉を入れたい気持ちは痛いほど分かります。でも文章で伝えたいことは「カフェの内装案を管理する制度を作ったぞ!」です。
要らない修飾をするだけ文章の意味がボヤけて冗長になってしまいます。 常に「この副詞・連体詞は必要なのか!?」という観点で文章を書きましょう。
一文には一つのメッセージ
前述の「私は〇〇サークルで行う、○○カフェの内装案を実現するための管理制度作りを行いました」という言葉に着目しましょう。
ここに不要な説明を加えると以下のようになります。
「私は 〇〇サークルで行う、○○カフェ の内装案を実現するため、部員一人ひとりが管理している備品リストを用いて管理制度作りを行いました」
これも上段落で紹介している修飾詞ではあるのですが、文単位での修飾になっているので気づきにくいです。
この文章を読む相手はまず「何の話題か?」を知りたいので、伝えたいことは「 カフェの内装案を管理する制度を作ったぞ! 」です。
そこに「どうやって管理制度を作ったのか?」を説明として付与するのは情報過多です。相手はまだ何の話かも分かってないのに……。
「どうやって管理制度を作ったか?」はその後の文章で説明する事柄です。必ず一文には一つの意味しか込めないようにしましょう。
体言止めを有効活用
個人的にはかなり使えるテクニック。文章のダレさせずにリズムよく繋げられる。特に文頭に持ってくると頭が良さそうな感じが出ます。
「組織の変革のキッカケは一つのアイディア。この知見得てからはより積極的に意見出しをするようになりました。御社で働く際にも有用な意見は臆さずに発言していきたいと思っています」
上記の文章を下記のようにすると、テンポが悪くなってしまいます。加えて文字数も増加します。
「組織の変革は一つのアイディアがキッカケで起こると学びました。 この知見得てからはより積極的に意見出しをするようになりました。御社で働く際にも有用な意見は臆さずに発言していきたいと思っています 」
そこで体言止めを利用するとキリッと纏めてくれます。 特に文章を締める部分で活用すると味が出ると思います。文字数の調整にも利用できるので積極的に使っていきましょう。
自由記述欄にイラストなどを書くのは辞めた方が無難
これは企業風土や業界によっても異なります。ただ製造業など重厚長大な昔ながらの気質の会社だとマトモで無難な人材を採用しようとする気が強いです。
イラストなどを記述して奇をてらってもエントリーシートが弾かれる確率が非常に高まるので止めておきましょう。
IT企業とか広告代理店とかなら全然違うんでしょうが、化学系はダメですね。同期でも大真面目にイラスト描いて送ったら、見事に落ちたのを三回ほど見ました。3/3なので信憑性あるんじゃないでしょうか。
自己PRをメインにして補足で図やイラストを載せる程度の使い方なら全然アリだと思いますので、いろいろと採用担当者の立場を考えながら工夫してみて下さい。
自由記述欄になにを書くか
エントリーシートによっては自己PRを書く欄と別に自由記述欄が設けられているものがよくあります。そういった場合にオススメなのが「なぜ御社でないとダメなのか」を自由記述することです。
幸いにも自己PRは別欄に記述してあるため、自分の強みを生かせる部分が御社のどの辺りのフィールドだと考えたのかを書いてあげると効果抜群だと思います。大切なのは「私は御社がめっちゃ入りたい第一候補なんだぞぉぉぉ!!!」という熱意を紙面上でPRすることです。
採用数は年間計画で何人と予め概算人数が決まっています。採用担当者はその人数になるように内定を出していかなくてはいけません。
したがって採用担当者は内定を出した学生に蹴られることをひどく怖がります。入社する人数が読めなくなってしまうからです。そのため「ある程度の能力があって絶対に入社してくれそうな人」に重きを置いています。
紙面上で熱くPRしておけば「入社してくれそうな人」だと思われて通過することが多いと思います。ちょっとずるいですが、採用担当者の心理も考えながら頑張ってほしいです。