リクルーター制度と内定の関係性

ryunn
あいつは12月の学会で有名企業に引き抜かれたらしい
助手ちゃん
あの人は上手く研究分野と企業のニーズが一致してたからね。リクルーター制度で引き抜かれて就活をしないまま内定確定の場合もあるみたい
就活をしていると上記のような現象を見聞きする機会が1、2回はあるのではないでしょうか。私の体験から申し上げると、選考が始まる前に就職先が決まるのは100人に一人くらいの確率です。
一撃で就活が終了するので「羨ましい!」と思いがちですが、案外デメリットも数多いです。この記事ではリクルーター制度の良否を語っていきます。

学会のリクルーターは採用制度への権限が強い

筆者が見聞きしたのは学会発表でリクルーター制度により引き抜かれた例です。
学会では課長や部長といった権力者が集います権力者に気に入られると人事採用へ強く採用を要求してくれますので、一本調子に採用へと突き進む可能性が高いです。
対して11~3月にかけて研究室にやってくるリクルーターは平社員のみです。就活生は彼ら先輩の会社説明を聞いて、参加カードに名前を書いて回収してもらうというフローになります。

参加カードの意味は企業ごとに違う

採用フロー自体が変化することもあれば、一般応募に先んじて面接を受けられることもあれば、ただの宣伝であることもあります。
筆者の体感では参加カードは”ただの宣伝”という側面が強いです。「勝手に選考に応募されるだけ」でメリットがない場合も結構あるように感じます
採用担当は毎年決まった数の応募者を集めることが使命ですので、リクルーターが訪問した研究室生全員がとりあえず応募してくれるだけで嬉しい。また参加カードを書く就活生としては「何か選考で有利になるかも!」という淡い期待を抱いて書くというwin-win??な関係になっています。

リクルーターの言うことは話半分に聞こう

就活生にとってリクルーターから企業に対する生の感想を聴けるのはメリットです。注意しなければならないのは、リクルーターの言葉は自身が所属する部署で抱いた感想であって、企業内すべての部署を代表した感想ではないことです。
例えば技術系開発職のリクルーターが「仕事も書類を〇〇して設計図書くだけなんだよね。あんまり手も動かさないし体が鈍るわ」と言っても、その企業の開発職がみんな同じ仕事をしているわけではないことに注意してください。
特に大企業では多角化によって様々な分野に足を延ばしています。同じ開発職でも扱う製品によって天と地ほどの差があることを忘れてはいけません。
彼の部署は”手を動かさず体が鈍る仕事をしている”けど、ほかの殆どの開発部署では”めちゃめちゃ手を動かす仕事ばかりしてる”とかザラにあります。
同じ理論で、「うちの会社はホワイトだよ」とか言っても騙されないでください。大企業の中には必ず超絶ブラック部署とホワイト部署が混在しています
「ああ、この人の所属する〇〇開発はホワイトなんだな。よし私も同じ部署を目指すか」という受け取り方が正しいです。先輩を信じて飛び込んだ部署はブラックだった……というバッドエンドはよく見かけます。ご注意を。

リクルーター制度での引き抜きは羨ましいか

就活開始前に就職先が決定すると未来への安心感から心躍るような嬉しさがこみ上げます。そのせいで「その企業でよかったのか?」という観点を見落としたら大変なことになります。

リクルーター制度を用いて、就活なしで内定先を決めるメリットとデメリットを挙げます。

引き抜かれるメリット

  1. プレッシャーがないので精神衛生に良い
  2. 仲間から羨望の眼差しを向けられる
  3. 就活にお金がかからない

”必ず内定しなければならない”というプレッシャーがないのは間違いなくメリットでしょう。口下手だと就活で内定を貰えず精神を傷める人も一定数いるので。

地方から就活する場合は数十万円、下手すれば100万円ほどのお金が移動費や宿泊費で消費されます。就活しないことは金銭面でも大きなメリットです。就活中に移動費などを上手く節約する方法を下記の記事に記載しているので興味があればご覧ください。

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就活でかかる交通費のイメージ図

引き抜かれるデメリット

  1. 他の企業を知らずに終わる
  2. マッチング採用なので部署から出られない
  3. 研究室で無駄にこき使われる
  4. 就活中には疎外感を感じる

研究室でやっている研究が自分のやりたいことではない場合は、引き抜き内定を承諾する前によく考えましょう。企業でも同じ研究をやり続ける可能性が濃厚なので、ほかの仕事に挑戦したいならば断わるべきです。

引き抜き採用=部署とのマッチング採用なので簡単には他部署に転属できません。この事実が後々になって問題になるパターンもあるので気を付けましょう。

転属したいという悩みは仕事面というよりも人間関係で出現する可能性のほうが高いです。人との相性ばかりは運ゲーになるので、できれば転属がやりやすい一般採用で入社したほうが動きやすいとは思います。

就活期間中は同期がいないので疎外感を感じます。また就活しないのを良いことに教授から仕様もないタスクが雨のように降ってくることもあります。覚悟しましょう。

リクルーターに採用権限は殆どない

皆さんの元に来るリクルーターの大半は顔見知りの先輩です。つまり技術系の平社員が来ているということ。本気で仕事の話を深堀りするなら、仕事に慣れている5年目くらいの人間が来るべきです。

なぜ新人の若手をリクルーターとして自らの研究室に行かせるのか。それは以下のようなメリットがあるからです。

  • 知っている先輩だと企業に対する警戒心がなくなる
  • 大した仕事を持っていないので若手社員は動かしやすい
  • 他人に会社説明をする体験が若手社員の成長につながる

筆者も就活生のころは「このリクルーターと仲良くしていれば内定が近づくかも」と思っていましたが、基本的にはリクルーターに採用権限はありませんリクルーター制度という大義名分のもとに会社の人事に頼まれて来ているのです。

就活でいくつも面接を受けましたが、中堅の技術職でさえビクビクしながら技術面接を行っていることがよくありました。会社生活の長い人で採用での合否判定を任されるのは荷が重い仕事です。いわんや平社員が採用権限を持っているわけがないのです。

リクルーターに気に入られれば内定されやすい

リクルーターには採用権限はありませんが、人事部に掛け合う行動を起こすことができます。したがって熱烈に気に入られれば、人事部と掛け合ってくれるかもしれません。その場合はリクルーターも採用責任の一端を担うことになるので、通常業務に加えて学生のフォローなどの採用手伝いを任されてしまうでしょう。

リクルーターとしても仕事が増えるので面倒だと思います。よほど情熱のある人でないとやらないでしょう。なので貴方を入れたいと思わせるように行動するのが肝心になります。どの企業でもリクルーターがゴリ押しする学生には何らかの特典があります。上手く気に入られれば特別な採用フローに乗れるので頑張りましょう。

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