日本での需給には限りがあるため企業は海外に出て行って新規市場を開拓します。この動きは大企業はもちろんですが、中小企業でもみられるようになってきました。
就活戦線において英語力が重視される風潮が自然と高まっています。その際に指標として用いられるのがTOEICです。就活で提出するエントリーシートは会社によって異なりますが、どの会社でもほぼ必ずTOEICの点数を記入する欄があります。
TOEICの点数は書くべき
いまやTOEICは大学側が無理やり受けさせるようなテストです。
大学ごとに平均点は何点だったという公開情報まであります。当然ながら採用担当も大学のレベル別にTOEICの平均点は把握しています。
英語が本当に苦手であまりにTOEICの点数が悪いのなら、就活では「受講経験なし」とする回答も可能です。しかし受講しなかった理由や英語に対する理解度などは聞かれるので回答を考えておきましょう。
いまや企業は海外との取引なくしては成立しません。総合職での就活ならば、会社の規模に関わらず英語を見聞きする場面は必ず訪れます。すでに英語はある種の必須スキルといっても過言ではないです。
つまりTOEICのない履歴書は生年月日のない身分証明書みたいなものです。「この学生はどれくらい英語が話せるのか?」という能力が分からない就活生は採用担当としても印象は良くないでしょう。
就活で足切りに利用される
コニカミノルタ・ブリジストン・旭化成などの企業は就活でのTOEIC足きりスコアが700点といわれています。
ある企業の人事担当者に確認したことがあるのですが、「熱意があれば足りてなくても採用するよ」と不穏な回答が返ってきたことを思い出します。相当な光るモノがないとTOEICで落とすということですね。
就活という点に絞ると、できる限り点数が高いことに越したことはありません。
最終選考でAくんとBくんで迷ったときにTOEICの点数が高いほうを採用するというのは良くあることです。特に海外売り上げの高い大企業ではその傾向が強いように感じています。
また企業にTOEICの足切りボーダーが設定されている場合、点数が足りなければエントリーシートで落とされる確率はぐっと上がるでしょう。
高すぎると希望配属先にいけない
TOEICが高すぎると本人の意向に反して海外要員として採用される可能性があります。
例えば海外進出の盛んな大企業にTOEIC900点の研究開発志望の方が合格したとします。すると海外での開発業務に配属される可能性が高いです。
そのため900点を持っている人でも敢えて750点などと低めにESに記載している人もいました。
文系で就活をしていた友人が880点を有しているのに低く申告していた当人でした。彼から「高く書いた先輩が海外部隊に加えられたから敢えて低くしている」との言質を得ました。
メーカーなら600点以上でESに記載できる
化学系の就活生で色々な大学・学科の人(n=30くらい)から聞いたTOEIC点数の平均値が650点程度です。
就活では最終面接でTOEICの点数が話題の上ることが多いです。700点後半だと人事が「高いね」と声に出して理由を尋ね、逆に500点台だとなぜ苦手なのか理由を尋ねます。その中間だとまあ普通だね、みたいな反応でした。
TOEICに関しては最終面接でも面接官が軽く触れる程度のため、現在の大手化学メーカーでも最重要視している訳ではないと踏んでいます。
しかし人口減などで日本国内の需要が衰退の一途をたどるなか、企業のグローバル化が更に加速することはいうまでもありません。
今後の就活ではより重要視してTOEICを評価する企業も増えてくると考えられます。
化学系就活生ならば600点より高ければESに記載してもマイナス評価にはならないと考えています。
TOEIC点数を虚偽申告すると最悪は解雇
まず虚偽申告の定義は”取ったことのないTOEIC点数をエントリーシート記載すること”です。
つまり就活開始までに600点⇒800点へ点数が上がった人が、もともとの600点というスコアをエントリーシートに記載しても何ら問題はないわけです。
問題は600点しか取ったことがない人が800点とエントリーシートに記載することです。選考中はバレることはありません。しかし内定後にTOEICのスコアシートの提出を求められるため、虚偽申告は絶対にしないでください。
虚偽申告が発覚すれば入社後であっても解雇や減給のような厳しい処分が下されます。その人を採用した人事担当者のメンツも丸つぶれで、上司や部署の人間にも風評被害も出てしまいます。
TOEIC700点程度で英語は操れない
筆者が就活時に持っていたTOEICスコアが700点でした。
多少の自信はあったのですが、ネイティブとの英語の電話会議を何度も経験した感想として700点程度ではビジネスに英語を生かすなんて不可能です。まず相手の言っていることが早口で、発音も独特なため聞き取れません。
英語の電話会議で業務を進めている先輩方はTOEICの勉強をしないで850点程度を獲得してきます。恐らく彼らはちゃんと対策すれば900点を超える素養があるのだと愚考しております。
筆者が感じる”業務に使えるTOEICは800後半から900点くらいのイメージです。それぐらいでないと一字一句聞き漏らしてはいけないビジネスの現場では使い物になりません。
TOEICより就活対策を優先するべき
化学系院生のTOEICは夏のインターンまでに点数の底上げを狙えばいいかと思います。そこまで重要視されていないため、夏のインターン以降はエントリーシートや面接対策などに時間を傾けるべきです。
企業が欲しているのは就活生の素養です。即戦力は全く求められていません。どんなポテンシャルを秘めていて、今後どんな技術を身に着けてくれそうかを面接官は凝視して採用者を決めています。
文系学生では大事な要素を占めるTOEICも研究技術が大切な化学系院生にとってはアクセサリーでしかないです。
ぜひエントリーシートや面接の対策を入念に行って、「あなた」という人物の魅力が最大限に面接官に伝わるようにしてください。